異端
今日はクリスマスということで、ちょっくら街に繰出してみました。
街は、 奇麗に装飾されていて、幸せなファンタジーのようで、如何にも“クリスマス!” って感じで。
レストランに、幸せそうな家族。 恋人同士。
街中が、なんだか浮かれてて、楽しそうで、幸せそうで、なんだか僕まで幸せな気持ちになってきます。
そんなクリスマスな街を歩いてると、何処からか、歌のような声が聞こえてきました。
見ると、ギターを持った男が一人。
ああ、クリスマスの歌でも唄っているのだな、と思い。
誰も立ち止まってなかったけど、ちょっと足を止めてみたんです。
けれど、それがどうも様子がおかしい。
男は、うなだれ、感情の無い顔をしている。 と、徐に、
スーっと顔を上げ、
無表情だが、眼だけは微かに、怒ったような、泣いてるような表情で、
「本当か。 本当か。
騙されちゃいないか。 流されちゃいないか。」
と呟き、
「思考停止と快楽の奴隷社会」やら「世界の惨劇と闇」やら「人類の堕落と行く末」
やら、何やらお堅い歌を唄っている。
空気の読めないヤツだな~・・・。
道行く人たちは、楽しそうに笑っているのに、街は浮かれ気分なのに、
みんな幸せそうなのに、
だれも聴いてはいないのに、
男は、大マジメ。
そんな事言われてもこっちは「ハァ。」だよ。 唯、
彼のやりきれなさが、 ・・・。
僕はイヤぁ~な気持ちになったので、逃げるように、その場を去ったのです。