目的

「いやぁ~、ついに完成しちゃったなー。
 一生、脳の所謂幸福中枢をコントロールし続ける事のできる生命維持カプセル・・・。
 多幸感と中枢神経系の関係と仕組が完全に解明されてから、40年も経っちゃったよ・・・。」

 

「博士、ついに完成しましたね・・・。
 誕生以来、人類は実に多くの物を創ってきました。
 特に科学技術の止まるところのない進歩により、今や必需品は言わずもがな、更なる利便性や快適さや快楽の為の物が際限なく作られ無数に散在します。
 結局人は自己の快を追求する、快楽原則からは逸脱できないのです。現実原則も結局は自己の幸福の為であり、自己のより幸福な状態を模索追求する、言わば〝幸福原則〟から逸脱できないのです。常に無数にある選択肢からとる行動の根本動機はすべて、幸福追求原則に帰納し包括されているのです。
 そのような観点から、この「一生、幸福中枢をコントロールし続け多幸感を持続した儘でいることのできる生命維持カプセル」は、正に、人類が追い求めてきた究極のマシーン、理想の極致なのです!
 人類誕生以来初めて、全人類が幸せになれるのです!!
 至福千年王国の実現です!!!」

「じゃ、キミ、早速・・・」

「  ・・・え? ボクですか?」

「え? 何?」

「え?  いやいやいや (笑 」

「いやいやいや (笑 」

「・・・・・」

「・・・・・」