鬼と侍

図書館の児童絵本コーナーで、変な絵本を見つけました。

 

 

 

   『鬼と侍』

 

 

  世界の果てで、
  冷たい風を間に、向い合う、鬼と侍。

 

  鬼は、今にも襲い繋りそう。
  侍は、今にも斬り繋りそう。

 

  鬼の目は、色を映さない醒めた眼で、侍と世界を見ている。
  侍の目は、意味を映さない空虚な眼で、鬼と世界を見ている。

 

 

  鬼は、 思う。
  「ああ。 コイツは独りなんだな」

 

  侍は、 思う。
  「ああ。 こいつも独りなんだな」

 

 

  世界の果てで、
  冷たい風を間に、向い合う、鬼と侍。

 

  鬼は、初めて色を見た。
  侍は、初めて意味を得た。