2002(24)

ハルオ

高校の時のクラスメイトに、暗くて全く目立たないというか全く存在感の無い〝ハルオ〟というやつがいました。 先天性潜在的不幸願望症候群のハルオはいつも一人だった。 一人で登校し、教室では一日中誰とも話さず寝てばかり。そして一人で下校する。特に何…

昔の友人

昔、こんな友人がいました。 うつろな目をした少年で、彼は人と接するのを避けていました。部屋に引き篭もり、たまに町を歩く時も下を見て。ただ想うのは、 冬の海、曇り空、真夜中街灯の下の猫 朝の雨、雨の夜、夕方の空の中の自分。 ぐるぐるぐるぐる・・…

サイコロ男

僕の友人に、全てサイコロで決める男がいます。 全てを儚げな眼差しで、「俺は一生黙っていよう」と、言葉を宙に燃やして捨てる。そうして男は、丘の上から、空っぽの町を見下ろしています。 いつも一人で。 男は何も喋りません。死ぬまで言葉を喋らない。 …