昔の友人

 昔、こんな友人がいました。

 うつろな目をした少年で、彼は人と接するのを避けていました。部屋に引き篭もり、たまに町を歩く時も下を見て。ただ想うのは、

  冬の海、曇り空、真夜中街灯の下の猫
  朝の雨、雨の夜、夕方の空の中の自分。
 
 
 ぐるぐるぐるぐる・・・   眠れない
 ぐるぐるぐるぐる・・・
 頭の中で蟲が動き始めた、夜中過ぎ。

 少年は走る。みんな寝静まった真夜中を。

 

 走って走って走って走って・・・・   走って

 

 それはもうとんでもない所まで。
 そして少年は呟く。

 「そうだ、空の一部を四角で切り取り、我が部屋の壁に貼ろう。」

 

 

 

 虚ろな目をした老人、夕方の中一人散歩する。
 公園、ベンチに座り、空を見つめる。

 

  「空の一部を四角で切り取り、我が部屋の壁に貼ろう」。